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コラム

食べているのに成長しないのはなぜ?
 
 以前、ワンちゃんやネコちゃんの肥満に関するコラムを掲載しました
成犬・成猫では、欲しがる・おいしそうに食べるからと、どんどんおやつやごはんをあげてしまえば、やはり肥満になりますし、様々な病気の発生リスクが高まります。
 しかし、成長期では食べた分しっかりと体重が増えていくことが重要です。今回は、「食べているのに成長しない、大きくならない」という状態について解説したいと思います。

 動物の成長は、品種や個体差もありますが、通常おおよそ生後半年~1年で終了すると考えられています。その後は、健康で適度な運動と食生活をすれば、一定の体重を維持することができます。
 下のグラフは、成犬を100%とした場合の体重の比率と月齢の関係を示したものです。ご覧のように、約12カ月齢で体重は安定化します。
 
 正常な成長期には、バランスの摂れた食事を摂取することで体重が増加します。
この時期に体重が増加しない原因は、大きく二つに分けられます。
 
 ひとつは食事の内容・量が不適切な場合です。糖やタンパク質の他にも、ビタミン(A、B、Dなど)やカルシウム、鉄、銅などのミネラルの不足により成長が遅れることがあります。
 
 もうひとつは、食事が適切でも成長を阻害する何らかの病気がある場合です。
病気の種類は、感染症生まれつきの病気に分けられます。
感染症の場合、
・腸に障害を受け栄養をうまく吸収できない
・下痢をして栄養が便に出てしまう
・栄養が腸の中にいる寄生虫の成長に使われてしまう
などにより、動物の成長が阻害されます。詳細は、ウイルスおよび細菌に対するワクチンのコラム、寄生虫予防のコラムをご覧ください。
 生まれつきの病気は数多く存在しますが、今回は3つの病気を例にご説明します。
●動脈管開存症(どうみゃくかんかいぞんしょう)
 ワンちゃんの生まれつきの心臓病(心奇形)の中で、最も発生が多い病気です。

生前の赤ちゃんの心臓には、左図のように「肺動脈から大動脈へ」血液を送る「動脈管」があります。この動脈管が生後間もなく閉じることで、体の成長に寄与する酸素や栄養素の豊富な血液を心臓が大動脈から全身へ送るという正常な血液の流れが始まります。
ところがこの動脈管が生後も開通したままの状態だと、「大動脈から肺動脈へ」という異常な血流が生じ、全身への血流量は減ります。その結果、栄養不足となり全身の臓器の発達が妨げられてしまいます。
 この病気では、いくら食事から栄養を摂取しても体の成長には足りません。
手術や内服薬など、心臓の状態や症状に併せた治療が必要となります。
この病気以外にも、生まれつきの心臓病のほとんどは成長不良の原因となります。

●先天性門脈体循環シャント(せんてんせいもんみゃくたいじゅんかんしゃんと)
 腸から吸収された食事中の栄養は「門脈」という血管を通り、肝臓に運ばれ、体の発育や運動に利用される形へ変換・貯蓄されます。また、腸内の毒性物質も肝臓で無害な形に変換されます。
 門脈を静脈と直接連結してしまう異常な血管を「シャント」と言います。
シャントがあると、門脈を通って肝臓へ向かう血液は減少し、肝臓での栄養の変換が充分に行われず、成長不良が起こります。さらに、毒性物質が全身を循環してしまうため、嘔吐・下痢などの消化器症状やけいれん発作を起こすことがあります。
 門脈とどの静脈にシャントが起こるかは様々ですが、小型犬では門脈と後大静脈の間のシャントが多いと言われています。
●口蓋裂(こうがいれつ)
 口腔(口の中)と鼻腔(鼻の中)は、上あごの「口蓋」と呼ばれる壁で隔てられています。この口蓋は、生まれる前に口の左右から伸びてきて、真ん中で合わさることで形成されます。
 口蓋の形成が不充分な場合、口腔と鼻腔の間に口蓋裂という隙間が残ります。口蓋裂があると、生後摂取したミルクやごはんの一部をきちんと飲み込むことができなかったり、この口蓋裂を通って食べ物が口腔から鼻腔へ流入したりすることがあります。その結果、充分な栄養を摂られず、動物は成長できなくなることがあります。他の症状として、咳やよだれ、鼻からの食物の逆流が挙げられます。また、鼻炎や肺炎を併発することがあります。
 ワンちゃんでは、シーズー、ポインター、ブルドッグで遺伝性と考えられており、ま
たネコちゃんでは、シャム猫で多いと考えられています。
 この口蓋裂は、約8週齢で閉鎖する手術を行いますが、それまでの間、食事の補助が必要になります。
 また特に病気がなくとも、以下のような場合は過剰に食べても体重が変化しないことがあります。

・寒冷環境に住んでいる(栄養が熱の産生に消費される)
・運動量が多い(特に猟犬やスポーツをするワンちゃん)
・複数の子がごはんを争って食べている

 成長に影響する病気は多種多様ですから、ごはんの食べ方や成長の様子を注意深く見てあげなければなりません。感染への抵抗力が弱い幼齢期は、第一に感染症が考えられます。以下の項目を必ず実施しましょう。
 また、適切な食事の量や種類、他にも気になる点がありましたら、早めに獣医師へご相談ください。
2012/03/05 23:18
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