てんかんについて

犬と猫の抗てんかん薬
犬の抗てんかん薬:現在効果があると認められている抗てんかん薬
●フェノバルビタール:錠剤,散剤:1日2回
昔から使われてきたこの抗てんかん薬は、現在でもかなりの使用頻度を占めています。この薬は、犬のてんかん発作の約70%に対して効果が認められています。この薬剤の利点は安価なことと血中濃度測定が可能なことです。
使用方法はこの薬剤を単独で飲ませていく単独療法が主体ですが、効果が認められない場合には後に述べる臭化カリとの併用療法も行われます。
副作用は飲ませ始めてから2週間程度の間に起こる初期副作用と長く飲ませて起こる長期副作用に分けられます。
初期副作用は一過性なのでこの状態を知っていればそれほど心配することはありません。動きがにぶくなったり、ふらついたり、少し性格がかわったり、食欲が異常にでたりというものが初期副作用に認められています。
長期副作用は、食欲亢進と運動性低下による肥満が認められます。また、尿失禁をおこしたワンちゃんもいます。
有効血中濃度を大きく上回った場合の中毒症状としては、肝障害(肝細胞毒性)があげられます。これは定期的な血中濃度の測定と血液化学検査で予測あるいは発見できるので定期健診さえしていれば避けることが可能です。
理想的な血中濃度は、おおよそ15~40μg/mlですが、10μg/mlで発作がコントロールできているならばそれ以上に薬の量を上げる必要はありません。

●臭化カリ:一般的に液剤に調剤して処方:1日2回
臭化カリは試薬として出ているものを調剤して利用されています。フェノバルビタールと臭化カリの単独および併用療法で約90%のてんかん発作に効果があります。この薬剤の利点は、安価なことと肝障害などの副作用がないことです。一方、欠点として血中濃度測定は国内で行うことができないことと効果の発現に時間がかかる(約2-3カ月)ことです。
使用方法は、上述のフェノバルビタールで効果が認められなかった場合にこの薬を併用して飲ませていく併用療法と最初から臭化カリの単独療法でいく場合があります。
副作用は消化器症状(吐いたり下痢したり、重度の場合には膵炎)、無気力、多飲多尿、運動失調、昏迷などがありますが、いずれも血中濃度が上昇した場合に顕著になる症状なので飲んでいる薬の量が多くなった場合には注意する必要があります。

●ゾニサミド(エクセグラン):錠剤,散剤:1日2回
日本で作られた唯一の抗てんかん薬です。上述のフェノバルビタールと臭化カリによる治療において効果が認められなかったてんかん発作(難治性てんかん)に対して使用した私たちの研究では、非常によい結果が認められています。この薬剤の利点は、副作用がほとんど認められないことと血中濃度測定が可能なことです。一方、欠点としては大型犬では高価になってしまうことです。
使用方法としては単独で難治性てんかんに使用していく方法と単独で始めから投与していく方法があります。
副作用は、強いてあげるとしたら今まで食欲亢進状態にあった子の食欲が減少することです。人での副作用はいくつかありますが、当院における臨床例で副作用は認められていません。
理想的な血中濃度は、おおよそ20~50μg/mlです。

●ジアゼパム(セルシン):錠剤,座薬,注射薬:1日2-3回
●クロナゼパム(リボトリール):錠剤:1日2回

どちらも速効性のある短時間作用型の抗てんかん薬ですが、犬で長期的な連続使用をすると効果が減少していくことがわかっています。よって、短期的な使用方法が適しています。
ジアゼパムはてんかん重積状態の時に血管内へ注射したり、群発発作のときに家で坐薬を入れてもらうのに利用できます。
クロナゼパムは抗てんかん薬を切り替えていくときに一次的に併用して発作頻度を抑える目的で使用します。

猫の抗てんかん薬
●タウリン:1日1-2回
自然発生てんかんの猫における脳内タウリン濃度が低く、これらにタウリンを経口投与したところ効果的であったという報告があります。
私たちのの経験からもタウリン投与によりてんかん発作が減少すると考えています。しかしすべての症例でその発作をコントロールできるわけではありません。よって以後述べる抗てんかん薬の補助として投与する方法がよいと思われます。

●フェノバルビタール:1日2回
理想的な血中濃度は、おおよそ20~30μg/mlです。
後はほぼ犬と同様です。

●ジアゼパム:錠剤:1日2-3回
猫では犬の違ってジアゼパムの長期投与が可能です。注意しなくてはならないのは、まれに投与後の急性肝壊死という病態が起こることがあります。
予防するのには投与後3日から5日で血液化学検査をすることが大切です。

●ゾニサミド:1日1-2回
猫でも有効なことが最近の報告でわかってきました。犬と比べて薬の半減期が長いため、血中濃度が上昇していることがあるので安定してから定期的な測定が必要となります。