渡辺動物病院

てんかん Q&A

発作の分類

発作の回数からの分類

単発性発作:初めての発作を1回だけ起こした状態。

再発性発作:発作を2回以上起こした状態。

群発発作:1日に2回以上の発作を起こした状態、数日にわたる場合が多い。

てんかん発作の中で一番危険な状態

てんかん重積状態:発作からの回復がみられないまま次の発作を繰り返す状態。初めて起こした発作からてんかん重積状態になる場合もある。

動物が再発性発作で来院した場合の原因別分類

1. てんかん

特発性てんかん:原因となる疾患が認められない原因不明の状態

潜因性てんかん(症候性):原因となる疾患は確定できないが、脳に傷が認められた状態(すでに病気は安定していて非進行性である)と推察される場合

2. 構造性てんかん(症候性てんかん、進行性脳疾患)

奇形:水頭症、滑脳症、その他の先天性脳奇形

炎症:原因不明脳炎(壊死性髄膜脳炎、肉芽腫性髄膜脳炎、壊死性白質脳炎)、細菌性・真菌性髄膜脳炎、FeLV・FIP・FIVによる脳炎、未知のウイルスによる髄膜脳炎、猫灰白脳脊髄炎、トキソプラズマ症、寄生虫の脳内への侵入

外傷:重度の頭部外傷

変性:ライソソーム蓄積症、セロイドリポフスチン症など

血管:脳梗塞、猫虚血性脳症、出血性疾患

腫瘍:原発性、転移性

3. 非てんかん性発作(反応性発作)

<脳外に原因がある場合>

中毒性:鉛、有機燐系農薬・殺虫剤、除草剤、なめくじ駆除剤

代謝性:低血糖、低Ca血症、肝性脳症、尿毒症、高リポ蛋白血症(ミニチュアシュナウザー)、チアミン欠乏症、甲状腺機能低下症、副腎皮質機能低下症、褐色細胞腫、赤血球増加症、脱水症、電解質異常、先天性尿素サイクル異常、先天性アミノ酸代謝異常

心疾患による失神:不整脈、先天性心疾患、心筋症

頭部頚椎接合部奇形(Craniocervidal junction abnormality CJA)
近年小型犬でCJAに起因した発作が多く診断されるようになっている。この発作はてんかん発作と間違えられていることが多く抗てんかん薬での抑制は難しい。
後頭部の形成異常によるキアリ奇形を総称して後頭骨尾側形成不全症候群(COMS)と総称されている。これに加え頭蓋底陥入症、環椎後頭関節不安定症、環椎軸椎不安定症などの形成異常も併せて頭部頚椎接合部奇形を呼ばれている。

<脳内および末梢神経・筋に原因がある場合>

神経源性:ナルコレプシー/カタプレキシー

神経筋疾患:重症筋無力症(筋無力症クリーゼ)

行動異常(精神的な病気):強迫神経症、家族の注意をひく行動

不随意運動:ディスキネジア 四肢の筋肉が自動的に収縮して震えたり勝手に動いたりする。しかし四肢の協調が取れていないため不可解な行動のように見えることがある。抗てんかん薬には反応しない。