渡辺動物病院

獣医師によるコラム

チョコレートで中毒!?

2月といえばバレンタインデー、バレンタインデーといえばチョコレートですね。

人間にとっては嬉しいチョコレートですが、人間以外のほとんどの動物はチョコレートを食べると中毒を起こしてしまうことがあります。その名もチョコレート中毒と言います。おうちの子にチョコレートをあげたい!という方は動物用チョコレートを選んであげて下さいね。

さて、今回はチョコレート中毒にちなんで、動物が中毒を起こしやすいものについてご紹介します。

犬や猫は、身の回りにある様々なものを口にします。
身体に害がなく消化できるものや便と一緒に出てくるものであれば良いのですが、中にはつまって苦しくなったり、毒物が吸収されて意識を失ったりと危険な場合もあります。
※すこし舐めただけで症状がでてしまう子、多量に食べても平気な子など、個人差があります。

<食べ物>
・チョコレート
摂取後、数時間~半日後に嘔吐、下痢が見られます。重症な場合は多尿、興奮、発熱、不整脈、運動失調、筋肉のけいれん、発作、腹痛、血尿、脱水などの症状がでてきます。
チョコレートに含まれるテオブロミン・カフェインにより中毒が起こります。体重5kgの子が板チョコ1枚食べると危険だと言われています。


・ねぎ・にんにく・ニラ
摂取後1~数日で血液中の赤血球が破壊され、急性の貧血や血尿を起こします。
嘔吐・下痢・頻脈・黄疸などの症状がでることもあります。
加熱後の汁などにも成分は溶けています。ネギが入ったすき焼きの汁や、タマネギ入りの味噌汁の汁だけでも中毒を起こしてしまうことがありますので注意してください。体重1kgあたりネギ20gを食べると危険だと言われています。


・ブドウ・レーズン
摂取後数時間以内に嘔吐し、下痢・腹痛・元気消失がみられます。数日後までの間に、急性腎不全がおこることがあります。体重1kgあたり10~30gのブドウ・レーズンを食べると危険だといわれています。

・ニコチンガム・タバコ
ニコチンにより興奮・ふるえ・よだれ・嘔吐などが起こります。小型犬がタバコ2本以上食べると危険だと言われています。ニコチンは胃で吸収されず、腸で吸収されます。胃腸に悪そうだからと水や牛乳をのませたり、胃酸分泌抑制剤を飲ませたりすると悪化する恐れがあります。


・キシリトールガム
人では歯に良いと言われていますが、動物ではキシリトールにより30分以内に低血糖や肝毒性がおこり、数時間~数日後に嘔吐・元気消失が見られるようになります。犬体重1kgあたり0.1g以上の摂取が危険だと言われていますがまだはっきりしていません。一般的なキシリトールガム1粒に約0.6g入っていますので、口にしないように気を付ける必要があります。食べてしまったら、まず砂糖水などの糖分を与えて病院へ連絡してください。

<食べ物以外>
・ヒキガエル
毒液により口の粘膜が麻痺し、よだれや嘔吐、呼吸困難、痙攣などが起こります。口にくわえただけでも危険ですので、くわえている所を見かけたらすぐ口を水で洗って下さい。

・殺鼠剤
ワルファリンという成分により血が止まらなくなるため、鼻血・血便・血尿などさまざまな部位の出血がおこります。脳や胸の中の出血で亡くなることもあります。体重1kgあたり5~15kg摂取すると危険です。ネズミ用に美味しく作られているので、家の中に設置する場合は気を付けてください。


・殺虫剤
ナメクジ駆除剤で摂取後数時間で痙攣とよだれがでてきます。重症になると意識混濁・呼吸困難・起立不能が見られるようになります。

ゴキブリ退治用のホウ酸団子は、体重1kgあたり3g摂取で致死量になります。嘔吐・下痢・よだれ・運動失調などがおこります。

除草剤は皮膚から吸収されやすい物が多いので、足裏についた除草剤をなめて中毒をおこすことがあります。運動失調・発作・腎不全などが見られ、呼吸困難になることもあります。除草剤が付着した可能性がある場合はすぐ足裏を洗うことが大切です。


・電池・磁石
体内で放電して火傷をおこしたり、アルカリ液が漏れて胃腸に穴をあけてしまうことがあります。


・生石灰
海苔などについてくる乾燥剤です。水分を吸収して発熱するため、消化管に穴があいてしまう可能性があります。


<食べてはいけないが中毒をおこしにくい物>
・ホッカイロ
鉄粉、水、活性炭、塩などが成分として入っています。水や牛乳をのませて様子をみましょう。
・シリカゲル
衣服や菓子などについてくる乾燥剤です。毒性が低く吸収されない物質ですので、多量に食べなければ問題ありませんが、稀に炎症がおこることがあります。水や牛乳をのませて様子をみましょう。


中毒をおこしやすいものは他にもいろいろあります。動物たちに「食べちゃダメ!」と言ってもなかなか分かってくれませんので、危険なものを与えない・そばに置かないことが大切です。

「散歩中になにか食べてしまった!」「留守番させておいたらごみ箱を散らかしていた」という場合には、食べたもの・量などにより対処が異なりますので、すぐ病院へご連絡下さい。

また、誤食してしまうクセがある子は懲りずに何回も繰り返してしまうので気を付けましょう。
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