渡辺動物病院

獣医師によるコラム

エキノコックス

2014年4月、愛知県で野犬の糞から、人に重い肝障害を引き起こす寄生虫「エキノコックス」の虫卵が確認されたとニュースになりました。愛知県では「飼っている犬で感染が心配な人は獣医師に相談を」と呼びかけています。

エキノコックスって…何?
北海道に多い寄生虫で、主にキタキツネや野ネズミに寄生しています。
犬にも寄生する危険性があり、人もまれに感染してしまう「人と動物の共通感染症」です。
北海道以外では2005年に埼玉県で見つかっていますが、静岡県では現在感染報告は出ていません。


エキノコックス症って?
<人の場合>
キツネ・犬の糞に排泄された虫卵に汚染された食物や水を口にしてしまうことからエキノコックスに感染しておこる病気のことをいいます。
口から体内に入った虫卵が幼虫となり、肝臓などで数年~10数年かけて増殖し、肝腫大・腹痛などが現れ、放置すれば90%以上が死亡すると言われています。
血液検査・画像診断で早期発見できますが、手術が必要になります。

<犬の場合>
犬は感染した野ネズミを食べた時に、エキノコックス感染の危険があります。虫卵を口にしただけでは感染しません。
犬の体内に入った幼虫は、小腸で成虫に成長し1カ月で虫卵を排泄するようになります。その後成虫は2~4カ月で体外へ排出されます。
犬は通常無症状ですが、下痢をする場合もあります。

・猫も野ネズミを食べて感染することがありますが、発育が悪く虫卵の排泄はまれです。

予防方法は?
おうちのワンちゃんが野ネズミを食べないよう、おうちの方が虫卵を口にしないよう、以下の事に注意しましょう。
① 手あらいをしっかりする
② 衣服や靴についた泥はよく落とす
③ 汚染された沢の水を飲まない、山菜をたべない
④ 犬や猫の放し飼いをしない
⑤ キツネや野犬にさわらない
 ※毛に卵が付いていることがあります



ワンちゃんの感染が心配な場合には、駆虫薬や予防薬があります。
フィラリア症と一緒に予防できる おやつタイプのお薬も新しく発売され、当院も導入しています。
詳しくは当院スタッフまでお尋ねください。
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